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いま、この人に聞きたい

 なんであんなことができたかって?
 そりゃ、おれさまが偉大だからだろ。
 ああ、そう言ってしまっちゃ話は終わっちまうか。ははは。
 んー、そうだな……。
 正直、生まれたときから、おれは他のやつらとは違うんだって思ってた。
 特別な存在、いわゆるオンリーワンってやつ? まさにそれだと。
 他の一般ピープルとは違うんだ。それは小さいときから思ってたな。
 いつかでかいことをやって、有名になって、人々はおれのことを語り継ぐんだ、なんてことを根拠もなく思ってたもんだぜ。これで何も果たさなかったら、ただの勘違い野郎だな。
 まあ、今となってはそれは現実のものとなったわけだけどさ。
 家族について?
 ああ。実はおれ、両親に捨てられたんだ。
 もちろん記憶に残ってるわけではないんだけどな。
 幼心ながら、どうしておれにはお父さんとお母さんがいないんだろう、なんてよく思ったもんさ。
 でも、そんなこと言ったら、ばあさんたち悲しむだろ? だからそれは絶対言わなかった。
 ばあさんたちには本当感謝してる。
 ばあさんの助けがなかったら、正直、おれは成功できなかった。
 あ、意外?
 なんだよ、意外って。おれだって感謝くらいするぜ。
 そんなの常識だろ?
 え、ああ、うん。分かればいいんだけどさ。そんな謝んなくてもいいよ。
 うんうん。ああ、仲間について?
 あいつらも本当よくやってくれた。
 つうか、なんでおれなんかのために、あんなに協力してくれたんだろうな。
 それは不思議に思ってた。
 え? あいつらにも話聞いたの? なんて言ってた?
 うん。あー、それは確かにな。
 あいつらもちょっと世間からは浮いてたみたいだし。あのー、アウトローってやつ?
 でも、世間からどう見られてるとか、地位とか金とか、そんなんじゃないだろ、仲間って?
 目を見りゃいっぱつで、そいつがどんなやつかなんて分かるもんさ。
 おれはあいつらを見たときはビビッときたね。
 こいつらとなら、やれる。
 そう思った。
 やつらもおれを見て何かを感じたからついてきてくれたんだと思うよ。
 そしてその結果、大成功したわけだしな。
 おれの見る目は間違ってなかったねぇ。
 え? ああ。マジで? そんなこと言ってたんだ?
 なんでまた?
 うん。あー、なるほどね。おれをサポートしただけだから、自分たちは有名にならなくてもいい?
 かー、あいつららしい意見だぜ。だから名前はふせてくれってか。そういうとこもまたいいじゃないの。サイコーだぜ、やつら。
 最後にみなさんに一言?
 そうだな。人間誰しもやりゃできるもんだ。
 生まれだとか才能だとか、そんなもんは関係ねえ。
 やるかやらないか、ただそれだけだ。
 お前らもおれと同じくらいビッグになれ!
 ……って、こんな感じかな。
 ああ。
 いや、うん。わざわざ今日はありがとう。
 じゃ、これで。

 以上、今回のインタビューは、鬼退治という偉業を果たした桃太郎さんでした。
 では、また来週。

Jan. 15, 2009


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