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ミッドナイトゴーストツアー

 空は嫌味なくらいに快晴で、日差しが容赦なく身体を照りつける。
 もう八時になろうかという時間に、ようやく自分の家まで帰ってくることができた。
 今日は金曜だから、広康は今頃学校に行ってるのだろうか。その点、大学生は楽なものだ。今日は午後から授業だ。
 とりあえずシャワーを浴びて、一眠りしようかと思っていると、携帯が鳴った。
 表示を見ると「松田 聡」とあるので、とりあえず出る。
「もしもし。トキオ?」
「ああ、どうした?」
「ビックリしたよっ」
「だからなんだよ、そんなに興奮して」
「幽霊っ」
「幽霊? 昨日、何も出なかったじゃないか」
「違うんだ。出てたんだよ。出てたのっ!」
「はあ? おいおい。まさか広康が幽霊だったとか言うんじゃないだろうな?」
「そんなわけないでしょ。彼は二つ隣にちゃんと住んでるよ」
「じゃあ、何だって言うんだよ」
「腕見てよ、腕」
「腕? どっちの?」
「どっちでもいいから早く」
 何を言っているのかわからなかったが、大人しく自分の腕を見てみる。ちょうどシャワーを浴びようと思って、上は脱いでいたので、すぐに何もないことが確認できた。
「何もねえよ」
「でしょっ?」
 何言ってんだ、こいつは?
「まだわかんないの? 昨日のこと思い出してよ」
「昨日のこと? 夜に浄土沼に行って、そこに広康がいて、それで三人で無駄な時間を過ごした」
「まあそうなんだけどね。夜中に広康くんが起きたでしょ?」
「ああ『蚊に刺された』とか言って急に起きたな」
 ん?
 おれはもう一度、両腕をじっくりと見た。
「あれ?」
 そのまま両脚まで見てみるが、何もない。
「これがそうだって言うのか?」
「そう!」
「いやはや、なんとも」
 確かに幽霊に触られたというわけか。
 それにしても……。
 全然怖くないな、蚊の幽霊なんて。
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