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ギザギザハートの憂鬱

 おれだって、いつもとがっているわけじゃない。
 自分を守るためにそうなってしまうだけ。
 誰だって傷つけられたくはないだろ?
 少なくともおれは嫌なんだ。
 キレてしまえば、自分でも手がつけられないことはわかっている。そんなことを繰り返しているうちに、だんだんとおれの側に寄ってくるやつも減ってしまった。
 へっ、有名になったもんだぜ。
 でも、本当にこれでよかったのか?
 いちいちキレては周りのやつを傷つけ、それで恐れられて、孤立してしまう。
 こんなことがおれの望みだったのか?
 もう遅い。
 身体は勝手に反応してしまうんだ。
 自分の意思とは関係なくな。
 ん?
 何かの気配が。
 あぁ。だめだ。身体が、身体が……。
 
 他の魚が寄ってくると、彼の全身からトゲが現れた。
 彼の憂鬱は終わりそうにない。
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