短編小説・ショートショート【極楽堂】

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キミノオク

「いいから見せろよ」
「やよ、恥ずかしい」
「なに言ってんだよ、今更」
「だって……」
「いいからほら」
「う、うん」
「よく見えないな。もっと開けよ」
「……」
「ちょっと照らしてみるか」
「あ」
「おぉ、見える見える。奥の奥まで見えるぞ」
「ああ」
「よし、写メ撮ろ」
カシャ。
「ちょ、ちょっと。何撮ってんのよ」
「おー、はっきりと写ってる」
「えぇっ?」
「ほら、見てみろよ」
「いいよ」
「いいから見てみろって。すごいことになってるから」
「そ、そんなこと」
「ほら」
「わあ、ほんとだ。こんなに」
「赤く腫れ上がってる」
「うん」
「だろ? だから早く歯医者行けって」
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