山形日帰り旅行記

「ゴールデンウィークに何か予定あるの?」
Oから連絡がくる。
「特にないけど」
「じゃ、どっか行く? 日帰りで」
「いいよ」

というわけで、5月3日(木)に日帰りで出かけることになった。
この時点でどこへ行くのか、わたしはあまり分かっていない。
だいたいいつもこんなノリで予定は決まる。
どうも今回のテーマは芭蕉らしい。
あとは川下りをするとか。
まあどうなることやら。
(Oについての参照は → Oの斬新なる発明 これもO力なのか

04:55
起床。
いつも通り目覚ましより早く起きて、鳴る前に止める。
このまま出ると多少早く着きそうだ。
だが、構わずに出ることにする。
あと、なぜか右下の奥歯の方が痛い。

05:35
出発。
交通情報の標識に「大雨洪水警報」と出ている。
よし、今日は川下りだ!
とりあえず出発した旨をOに連絡。
待ち合わせ場所も変更。

07:20
合流。
当然のように雨が降っている。
今日のおやつ(ラスク、アメ)が支給される。
コンビニで飲み物などを買う。
今回発見したのだが、Oが車に乗るとやたらと窓ガラスが曇る。
もちろん湿度の関係もあるのだろうが、こちら側のガラスが曇ってないのに、助手席側のガラスは曇るということもあった。代謝がいいらしい。そういうもんなのか。

08:40 道の駅あ・ら・伊達な道の駅【宮城県・大崎市】
トイレ休憩。
こんな時間だが、結構駐車場はいっぱい。

09:45
見たことがないデザインのローソンがあったので、寄っていく。

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ちなみにOはカフェオレについている某アイドルのグッズが欲しいらしく、この旅中に何本も買っていた。
裏手にある川が見事な激流になっていたので、動画撮影しておいた。
鯉のぼりが一匹、暴風のため、木に引っかかっていた。

11:00 龍横健【山形県・新庄市】
雑誌で見つけた店で昼食。
コンビニを改装して作っているらしく、よく見ないと通り過ぎてしまいそう。
だが人気店らしく、開店前から何台も車が止まっていた。
肉そばを食べる。(詳しくは→龍横健に記載)

肉そばを。May 03, 2012 at 11:05AM

11:30
川をはさんだ鳥居があったので、近くまで行ってみた。
雨はさほど強くない。

川をはさんだ鳥居May 03, 2012 at 11:31AM

11:50 道の駅とざわ【山形県・最上郡戸沢村】
思いっきり韓国一色。

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建物もそうだし、キムチやチヂミなども売っている。
ポップンコーン味と書いてあるコーンシルクティーと、松の芽ジュースという日本ではまずお目にかかれない飲み物を購入。
コーンシルクティーはかなり薄いコーヒー牛乳といった感じ。かすかに甘い。
松の芽ジュースはニオイがかなり強烈。食品のニオイというか、薬品か香水。
味はまぁ一口でもう勘弁。

施設のおじさんらしき人に、Oが「今日って川下りやってますか?」と尋ねると、「やってますよー」という答え。
嘘だろ。

13:00 最上川川下り事務所
強風で車が揺れる。
駐車場がうまっているので、まさかと思って行ってみた。

もちろんやっておらず。
強風のため本日運休という旨の張り紙がしてあった。

こんな天気の中行ったら、普通に沈むだろう。
滝があったが横風に吹かれて、それていた。
Oが某不思議発見的なレポートをしているのだが、雨と風でそれどころではない。
せっかくだからということで、陸にあった船で記念撮影。

さあ、これでこの旅のメインは終了。
これからどうするのだ。

13:50 ウィンドーム立川【山形県・庄内町】
あてもなく走っていると、何台もの風車があった。
さらに「風車の町」という標識が。
とりあえず行ってみる。

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ウィンドーム立川という、風力発電に関する施設のようなものがあった。
展望台があったのだが、節電のため、エレベーターが停止。
階段を上る。
ちなみに駐車場には我々の車しかない。

施設は閑散としていた。
オリジナル曲のカセットテープが売っていた。
「カセットうちにないんだよな……CDだったが買うんだけど」
とOがくやしそう。
ちなみに500円。
結構な値段だ。

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↑ さきほどかった傘をかぶって、発電に挑戦するO。

15:10 加茂水族館【山形県・鶴岡市】
クラゲがメインの水族館。
何十種類ものクラゲがいる。

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ちょうどショーが始まるところだったが、すでに人だかりができている上に、雨だったので、見なかった。

クラゲアイスクリームが売っていたので、買ってみた。

クラゲアイスクリーム (ラ•フランス)May 03, 2012 at 04:00PM
コリコリした食感のものがまじっている。
これがクラゲか。
別にまずくはないが、入れる必要もない。
Oはクラゲソフトクリームを買っていた。

今度は山形市へ向かう。
車中では、仕事でラジオインタビューを受けたOのCDが流されている。(2放送分)

ここで山越えとなるが、天候がものすごいことになっている。
大雨、もや、薄暗さと、これ以上悪くなることがあるか、という悪条件。
5月だが、山肌は雪で覆われていた。
たまに大きく水をはねあげ、ちょっとしたスプラッシュだった。
スリリング。

18:30 金ちゃんラーメン【山形県・山形市】
本当は、ケンチャンラーメンに行こうとしたのだが、やっていなかったので、近くにあったこちらの店に。
本日2杯目は、味玉チャーシューメン。

味玉チャーシューメンMay 03, 2012 at 06:41PM

19:30 道の駅天童温泉【山形県・天童市】
足湯があるよ、というので行ってみたが、すでにいっぱい。
周りの暗さもあり、部族の会合のような雰囲気を醸し出す。
さすがにこれには混ざれないな。
帰りにそなえてレッドブルでエネルギー補給する。

21:30
解散。
Oがスガリに背中を3回刺されたという話を聞く。
それよりもスガリって全然耳になじみがないのだが、普通にみんな使うものなのだろうか。

あとOも疲労しているらしく、
「あ、そこ左ね」
と言うので、わたしが左に行くと、
「いや、左左」
と右を指さしていた。

22:55
帰宅。
1日に10時間以上運転するのは初めてじゃないだろうか。
かなり疲れた。
だが、休日らしい実に非日常的な1日であった。

後日談だが、出発する際に痛いと言っていた奥歯。
実は歯ではなく、口中に傷ができて、そこにばい菌が入っていた模様。
右頬が腫れて、連休中の1日は休養に費やされた。


ナミダナミダ

答辞を読むことになった。
卒業式のときに、卒業生代表が読む例のアレである。
もちろんその時期は、受験まっただ中なわけだが、幸運にも推薦入試で高校が決まっていたわたしには、時間は十分にあった。
ということもあってか、かなりスパルタな指導だった。
まず原稿は書いても書いても書き直し。
細かい部分を修正され、そのたび原稿用紙に向かう日々。放課後ひとり残って書いていると、受験生であるクラスメイトから応援されることもあった。
ちなみに担当してくださった先生は、国語の先生なのだが、それと同時に部活の顧問でもあった。(参照:テニスは○○だ
部活のときの彼は、他の部活の人たちが引くほどの厳しさで、よく我々は怒鳴られたり、説教されたりしていた。
一方、国語の時間はそんなことはなく、どちらかというと温厚なスタイルであった。怒られたりすることも、まずない。
そしてこの答辞に関しては前者のスタンスであった。
書き直しを繰り返し、やがて日が暮れると、犯人でもないのにカツ丼をとってもらった。
さらに、なぜか残っていた他の先生方も教室に集まってきて、総勢6人の先生(しかも全員男)が、自分を取り囲むフォーメーションを取った。
その中で遠慮しないで食べろというのは土台無理な話である。
そもそもわたしは昔から緊張すると、ものが食べられなくなるタチで、大会の前日の夜からほとんど何も食べないということもある。無論そんなシチュエーションで完食できるはずもなく、ほとんど残してしまった。
そうこうして何とか書き上げた原稿をもって、今度は読む練習である。
体育館の壇上に立ち、朗々と原稿を読み上げる。
「そこは感情こめて」
「もっと間をあけて、伝わるのを待って」
「そのときは悲しかったかもしれないが、今は悲しくないんだから、そんなに暗い口調にならず、今から昔を振り返るような口調で」
などなど、さまざまな注文が飛んできて、そのたび中断して、読み直した。
クライマックスで何とか泣けないのかという提案もあったが、さすがにそこまで感情をコントロールできなかった。
そして迎えた本番。
アドバイスされたことを総動員して、見事答辞は成功に終わった。卒業生らがすすり泣く中、わたしは練習の辛さを思い出して泣きそうになった。
後日、PTAの人からも、ここ数年で1番よかったとのお言葉をいただいた。
しかし、ひとり夜9時まで残されて、男の先生たちに囲まれるのは、もう御免である。


花粉症だった

 花粉症だった。
 こういうと、「え? 花粉症って治るの?」と聞かれる。
 それに対して「イエス」と答えよう。
 実際自分がそうなのだ。
 思い返してみると、小学生のときからすでに目がかゆくなってた。なんだかよくわからないかゆさに戸惑い、袋に入れた氷で目を冷やしていた。
 中学生のときは鼻水がひどかった。
 住んでいるところが田舎なもので、中総体の会場のすぐ後ろが森だった。ソフトテニスをやっていたわたしは、コートチェンジのたびに、後輩からティッシュをもらい鼻をかんだ。
 高校のころは、杉ではない別な花粉にやられていた。みんなが収まった頃になりだすので、なんとも周回遅れのような気分だった。
花粉という言葉が認知され、天気予報でも花粉情報が流されるようになったのはこの頃ではなかったか。
 果たして、どのようにしてわたしは花粉症を治したのか。
 これに対し、はっきした答えはない。
 なので「○○をやればいいですよ!」というアドバイスを期待された方にはここで謝っておこう。
 ただ、なんとなくあの時期に治ったとのでは?と考えられることがある。
 当時、食品添加物に警鐘を鳴らした本が、やたらと流行った。後に、それに対抗するような本もいろいろでた。
 わたしはそれの影響をもろに受けた。
 何か食べ物を買うときは原材料の欄をチェックし、極力悪いとされる添加物はとらないようにした。
 そういう生活を何ヶ月かしていたら、どうも体質が変わったようで、考えてみるとその辺りから目のかゆみがなくなった。
 つまりこれが花粉症改善の原因であったのではないかと考えられるのだ。
 そんな話は聞いたことがないのだが、ほかに思い当たる節がない。劇的に生活を変えた覚えもないし、食生活も当時とさほど変化ない。
 今では、花粉症の時期になっても目がかゆくなることもないし、そんなに鼻がひどくなることもない。(ただし鼻炎の気があって、年中くしゃみはでる)
 あの目の玉を取り出して洗いたくなるようなかゆさや、鼻が詰まって味が分からなくなる苦しみから脱出できたのは非常に喜ばしいことだ。
「今年から急に花粉症になりました」
というのがあるのだから、
「今年から急に花粉症治りました」
というのがあっても、さほどおかしくないだろう。
 ただ自分以外で後者の言葉は聞いたことないけども。


昨日勉強した?

「昨日勉強した?」
「えー、全然してない。した?」
「してなーい」
 だいがいどちらも嘘である。
 割と本気に、ほぼ徹夜で勉強していたとしても、だいたいの人が上のようなやりとりをしている。
 これはなぜなのだろうか。
 したならしたではっきりと、○時間した、といえばいいようなものである。
 だが、
「おれ、5時間勉強した」
「おれは7時間だ!」
 というやりとりは、まずお目にかかったことがない。
 たとえば「昨日、必死になってほぼ徹夜で勉強したんだ」と言ったとしよう。
 問題はその結果である。
 そのテストが100点なり、90点なりの高得点なら何も問題はない。勉強した甲斐があったね、というだけだ。
 これが40点とかだったら、話はまったく変わってくる。
 必死になって勉強して、それを公開した上で、低得点をとった場合、かなりのダメージが予想される。
「え、自分ってほんとは馬鹿なの?」
「こんな点数じゃ、あいつらに笑われる」
「勉強なんてしても仕方ない」
「世界なんて滅びろ」
 などなど、さまざまなネガティブ感情が襲いかかってくるだろう。自分のプライドも粉々に砕かれるかもしれない。
 一方、「全然勉強しなかったんだ」と言った場合は、さまざまな言い訳が立つ。
「やっぱ勉強しなきゃだめだ」「今度はしよう」「しなかったから、まぁ仕方ないか」などと言っておけば、とりあえずの面目は保てる。内心ではどんなにショックを受けていたとしても。
 すると必然的に「努力したことを表に出すのはリスキーだ」となる。なので、たとえ自分が努力していたとしても、それを表に出すことはなくなっていき、さらには「ドリョク、カッコワルイ」という中二的な発想が生まれてくる。
 やればできる子、という言葉をよく耳にする。そもそも、やればできるなんて当たり前のことだ。人一倍努力すれば、誰だって一人前以上にはなるだろう。
 自分が精一杯やって、結果につながらなかったとき、その虚しさは尋常ではない。プライドも傷つくだろう。
 人が目標を達成するのにあきらめるまでの平均トライ回数は1回未満という。
 つまり、やる前から諦めてしまっていることになる。
 これは何とももったいないことだ。
 失敗は恐ろしいことだが、それを避けてばかりいたら何も得られない。


キミが人狼 7

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キミが人狼1 キミが人狼2 キミが人狼3

キミが人狼4 キミが人狼5 キミが人狼6

「みなさん目を開けてください。今回の犠牲者は、カヲルさんです」
勝てる。
この選択で間違ってないはずだ。
彼はさっきかなり冷静に状況を分析していた。
残ったメンバーの中でいちばん厄介なはず。
思わず将軍の顔を見そうになるが、そんなことをしたら致命的なミスになるかもしれないのでこらえる。
こんなところで辺に勘ぐられてはならない。
うん。
これでいいはず。
大丈夫。
いけるはずだ。
将軍が予言者だと言い出したときは「こいつなにやってんの!?」と思ったが、それからの展開は見事の一言だった。
口八丁でみんなを誘導し、うまく本物の予言者をしとめてくれた。
おれは目立たないようにサポートに徹するだけで十分だった。
最後の仕上げはおれひとりの手で行わなければならない。
彼らが相手ならうまくいくはず。
何度も自分に言い聞かせる。
大丈夫、将軍なしでもきっといける。
「誰が人狼なのよ」
重苦しい空気に、またあの女の声が響く。
かなりいらついているようだ。
声にトゲがある。
それもそうだろう。彼女がいちばん将軍にのせられた形になった。
ここからさらに彼女を利用すれば、おれたちの勝ちは間違いない。
「とーちゃん、イヴさん、刹那。あんたちの誰が人狼なの?」
とーちゃんは未だに状況がわかっていないようで、みんなの顔をきょろきょろと見回している。
おれもうつむいたままだ。
「あの」
言葉を返したのはイヴだ。
「こんなことを言うのはなんなんですが、ルミさんが村人だという証拠もありませんよ」
ルミは一瞬きょとんとして黙った。
言葉の意味が理解できると、即座に反論を始める。
「は? ルミ、村人だし」
「だから、そんなことを言い始めたら、みんなそう言うに決まってます」
そう。
うまい。
いい展開だ。
やはり彼女を残しておいてよかった。
「だってルミ、予言者に村人だって言われたし!」
言った後で、ルミは「しまった」という表情になった。
ふふ。
墓穴を掘ったな。
「それは本物の予言者であればのことです」
ルミは言葉を返せない。
彼女を村人だと予言したのは人狼である将軍だ。
そんなことなんの意味もない。
むしろ人狼に村人だと予言されたことは何を意味するのか、どうやらルミも分かったようだ。
「翔くんが言いましたよね? 仲間である人狼をみんなに村人だと信じ込ませた方が都合がいいと」
「た、確かに言ってました」
おれはイヴの後押しをする。
もう少し。
もう少しだ。
おいおい、そんなににらまないでよ。
「ルミが人狼だって言うの?」
「そういう可能性もあるということです」
「だったら、あんたも同じでしょ?」
「もちろんそうです。だから、ルミさんだけ特別扱いすることはできない、と言っているだけです」
ルミがまた口を閉ざす。
「今、残っているのは4人です。なので、この昼でゲームは終わるでしょう」
「え? そうなんですか?」と、とーちゃんが口をはさむ。
このおっさん全然分かってないじゃん。
こっちとしてはその方が都合がいいけど。
「ここで人狼をリンチにかければもちろんわたしたち村人の勝ちです。しかし、ここで村人をリンチにかけてしまうと、夜にもうひとりが襲われ、村人の負けになります」
「あー、なるほど」
「つまり、どちらにしろ、ここが最後となります」
「納得です。ありがとうございます」
話の展開から考えると、イヴはルミを疑っているようだ。
とーちゃんの腹は読めない。
彼がイブに向かえば、3対1で勝てる。
どうすればいい?
「わたしはルミさんが怪しいと思います」
いろいろ考えているうちにイヴが話し出した。
いい流れだ。
「理由はさっきも述べましたが、人狼に村人と判断されたからです。仲間を隠すためのカモフラージュだったとわたしは考えます。さらに彼女の発言によって、本当の予言者である翔くんが選ばれてしまったのでは、と今では思っています」
完璧な理由。
おれの描いた通りの展開だ。
ここで決める。
「えと。お、おれもルミさんだと思います」
一応襲ってこないか確認するが、ルミはもはやほとんど感情を出していなかった。
自分の負けを悟ったのか。
ちょっと申し訳ない気もするが、これはそういうゲームだ。
「あの、理由は今、イヴさんが言った通りです。今考えると彼女の言葉は村人にとって不利に働いてたのではと思います」
おれたちの視線は自然と、とーちゃんに向いた。
彼は何やら考えているようだ。
今更何を考えることがあるんだ。
早くおれたちの意見にのれ。
そうすれば終わりだ。
「あの刹那くん」
「は、はい」
「あなたは高校生ですか?」
な、なんだ、こいつ。
何言ってるんだ?
ゲームに関係あるのか。
「はい」
「ふむふむ」
穏やかとーちゃんの表情が、なぜか今では恐ろしいもののように感じられる。
何をしようとしている?
何を見ている?
「では、あなたは人狼ですか」
「え? いえ、えと、村人ですけど」
「そうですか」
なんだなんだなんだ。
何を言い出した。
何かミスしたか。
してないはず。
ただの戯言だ。
気にするな。
落ち着け。
落ち着くんだ。
「わたしは刹那くんが人狼だと思います」
は?
えーーーー!
「なぜですか、とーちゃんさん?」
イヴが尋ねる。
「彼にはクセがあります。もちろん本人は気づいてないんでしょうけど」
クセ?
どんなクセだ?
「彼は嘘をつくとき、身体のある部分に反応がでてしまいます」
そんな馬鹿な!
「ど、ど、どこにそんな反応が?」
「え? それは言わないでおきましょう」
とーちゃんはにこっと笑った。
まさか、こんなところに意外な伏兵が。
くそっ。
なんてこった。
こんなのありかよ!
「ごくわずかな動きですので、普通の人は気づかないかも知れません。わたし、そういうのに敏感なもので」
おれは赤面してうつむいた。
イヴが驚いた表情でおれを見る。
ルミは目を見開いている。
とーちゃんはにこにこしたままだ。
バンッと大きく机をたたく音がする。
「泉さん、最後の投票をしましょう!」
目を輝かせたルミが司会に紙をせがむ。
おれは完璧にやったはず。
なのに。
それなのに。
3人はすぐに投票を終える。
どうしようもなくなったおれも、しぶしぶ紙を投票した。
「えー。それでは」
司会が声を張って、みんなに呼びかける。
ほかの3人は立ち上がっていたが、おれにはその気力もなかった。
「開票します。刹那くん、刹那くん、ルミさん、刹那くん」
「おーー!」
脱落者席からどよめきが起こる。
「よって、今回の脱落者は刹那くんです。そして」
目の前に置いていたカードが表にされる。
「彼の正体は人狼です。人狼はすべて撃退されました。村人チームの勝利です」
その声が終わるか終わらないかで、歓声と拍手が起こった。
ルミとメグが抱き合っている。
とーちゃんは翔の頭をなでて、タケヤマとカヲルは握手をしている。
やたらとみんなが遠くに感じられた。
負けた。
負けてしまった。
「惜しかったね」
いつの間にか後ろに立っていた将軍がおれの肩をたたく。
「すみませんでした」
「いやいや、キミはよくやったと思うよ」
将軍の口調はさっきまでとは違い、くだけたものだった。
これが普段の口調なのだろう。
おれは恥ずかしくて、彼の顔が見られない。
「まさか、あんな決め方をされるとはなぁ。想定外だった」
くやしそうに将軍が言う。
「キミにクセなんてあるかな。おれにはそんなの見えなかったけど」
そう言って将軍は頭をひねった。
身体のある部分が反応する。
どこが反応するんだろう。
おれはいても立ってもいられなくなり、喜びの輪の中に近づいた。
「あの」
「はい? あー、刹那くん。残念だったねー」
とーちゃんがおれに握手を求めてきたので、それに応える。
「あの」
「ん?」
「おれのクセってなんですか?」
「気になる?」
「はい」
腕組みをしながら「どうしようかなぁ」と、とーちゃんは迷う素振りを見せる。
「お願いします。教えてください」
「嘘だよ」
「え?」
嘘?
なにが?
「キミにクセなんてない」
「え?」
「ルミさんが嘘を言ってるようにも見えなかったから、適当にかまをかけてみたんだ」
「え?」
「だって、このゲーム、嘘ついていいんだよね?」
とーちゃんは、いたずらっ子のように、にやっと笑った。

end